夜会 VOL.10
<海嘯>


1998年11月28日(土)・12月12日・19日
Bunkamuraシアターコクーン
S席 ¥13000 A席 ¥11000
舞台セットが4億円なんて書いてあるスポーツ紙がありましたが・・。


実は今回の夜会は久しぶりに3回も観ることが出来たのだが、 最初に観た印象と3回目に観た象がかなり違う。 まわりの人の影響かもしれんし、舞台の台詞も若干の変更があったせいかもしれない。

去年までの数年間は1回こっきりしか観ない年も多かったし、 やはり夜会は何回か観た方がいいかもしれない。とはいえ、S席13000円は高い。 チケットは本当に観たいと思っているファンの所には回ってこないもののように思えてならない。

それはともかく内容は、物語はともかく 曲が良かったなと最近思っている。 とにかく十回記念だからみんな出したれ、てな感も否めない。

ラストのこれでもかとばかりに降る桜。あれは結構印象的だったかもしれない。


とまあ観終わった後に短い感想を書いてあるが。。

で、この時の夜会であるが、時間が無かったのかなんなのか、 相変わらずの微妙に無理な話の展開と何故だか感情をどっかへ置き去りにしたように見えてしまう登場人物達。。

ただし、今回は曲は悪くは無いと思う。 問題は話の構成で、たとえば序盤の中島さんの電話している一人芝居が非常につらい。 しかも物語の重要とも思える部分をここで話しているのがつらい。 なにより、毎回同じように演技できない中島さんがつらい。中島さんはその時々の気分でかなり演技が変わると思う。 台詞と台詞の間に妙な間が空いたりすると、あ、台詞忘れたんかな・・とハラハラしながら観なきゃいけなかったのがつらい。

今回は十回記念というわけでやたらと登場人物が多い。多いせいというわけでもないだろうが、 登場人物の感情を感じ取る事ができない。都合よく解釈していけばどうにでもなるでしょうけども。 なにより主演である中島さんの感情が空っぽで、これが一番つらい。 後半では植野葉子嬢の迫真の演技もあったが、変に空回り。植野嬢はなにひとつ悪く無いが。 張 春祥氏もいい感じだったけども。

いつものように緩慢な話の流れから唐突な展開をみせる。 恐ろしい程降る桜、この夜会一番の見せ場である、と言い切ってしまおう。 逆に言うと今回の夜会は見せ場を作らないとどうにもつらいものだった、とまで言い切ってしまう。 ラストのこの夜会のタイトルである『海嘯』、客席の後ろからずんずんくる津波の音響の表現とか、 それもなにもかも凌駕しちまってるこのシーン。

中島さんの歌を聴くことだけに集中すればこれはやはり印象的なシーンであり、 この歌をアルバムに入れたところでこの圧倒的なシーンに勝てるわけがない。 しかし今の夜会の方向性をみても歌を聴く事だけに集中しちゃ物語を作ってる意味も無い。 それはそうとジーンズ姿の中島さんの尻がやたら印象的だった。 尻が物語るとはタムジンの言葉だけども。改めてそう思う。

4億円のセットだとか私ゃセットを観に来てるわけじゃない。 極端な話、何もない舞台に中島さんたったひとりで何かをしても、それでも「夜会」になりうる。 なんつったって言葉の実験劇場、何をしようと中島さんの思うがまま、のはずなんだけどな。 テーマとして決めてしまった「二隻の舟」が無意識に妙な束縛感を自身に与えていたのかもしれない。 実際に次の夜会では「二隻の舟」は無しだから。まあテーマ決めちまって10年もよくやったもんだと思う。

2003/11/15


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