]]Tc.1st.
(XXIc.1st.)


2001年11月18日(日)慶應義塾大学日吉記念館
全席指定 7350円(税込み)
学生さんは3300円慶應の人なら2800円・・・体育館そのもの。

2001年12月6日(木)、7日(金)東京国際フォーラム ホールA
全席指定 7350円(税込み)



24年ぶりに慶應の学園祭に出るというので、是非一度そういう場所の中島さんを見てみたいと思ったのだが。。 場所は体育館。ホント体育館。えらく広い体育館の幅いっぱいに木のパイプ椅子がずらりと並ぶ。 それよりもはるかに狭い舞台のセット、実際全く観えない席があったようだ。

当然、暖房設備も無いのでえらく寒い。公演数時間前に普段なら取らない水分を取ってしまったのもあり、 十数年中島さんのコンサートを観てきたが、今回初めて公演の最中にトイレに行ってしまった。 また、私がそうやって席を立ってしまえるような雰囲気であったのも確か。

席は当日、抽選で選んだのだが、大学生と一般の人と並ばせる列を分けており、私には異様に学生が少ないように 思えた。実際はどうなのか判らないが。やはり今の学生と中島さんとの距離感はあるなと思わずにはいられなかった。 思えば現在はラジオのDJもやっていないし、MCでもそういう話があったが「プロジェクトX」の主題歌を歌う人として知っている、ぐらいなものだと思う。 一応、さほど昔じゃない過去にもヒット曲はあるものの・・学生にとっての一年は長い・・・。 数年経てば懐かしいものになってしまう・・。

さて、コンサートが始まり、『あした』を歌い終わって挨拶。ラジオでは聞き慣れている声だが妙な高い声。客がさ〜っと引くのを 感じた。根拠は無い。思い込みであると言われればそうだ。 この声で挨拶をするようになったのは何年前からだろう・・ 挨拶の後開口一番、体育館じゃないかーとのたまう。スタッフからはツアーの他の会場と同じですと 聞かされてたとのこと。冗談めかして言ってたが、かなり本気の台詞じゃないかと邪推。

自分の席は客席の一番端、ほとんど中島さんを横から観てるようだった。 コーラスの人達やら全く見えない人も居たが、とりあえずは中島さんが声のみの状態にはならなかった。 それにしてもなんだか音が悪い・・ど素人の私でもそう思うくらい。 実行委員と思われるはっぴを着た二人の男性が壁際に立って、連絡事項のやりとりか知らないが 話をこしょこしょとしている声が聞こえる、曲の真っ最中に、だ。 しかし、別に腹も立つ事もなく、まあこんなもんだろうな、と思った。

一曲ごとのMC、喋る中島さんの言葉がことごとく空回りしているように思えた。 しかし、喋る内容もツアーの他の会場とほぼ同じであるし、20年以上もなんやかんやでやってきた人である、 なんとか笑わせる場所では笑わせる事ができたように一応ではあるが見えた。

今回のツアーの楽日が北海道であるとのことで、『帰省』は必ず歌うであろうと珍しくツアーが始まる前に 予想なんて事をしてみたが、的中。予想と言う程の事じゃないか・・。 他に『わかれうた』や『悪女』といういにしえのヒット曲も歌うんじゃないかと予想。 それから弾き語りってのがひとつ位入ってるんじゃないかとも予想。 果たして中島さんは『悪女』を歌い、『ホームにて』では弾き語りをした。もっとも予想した印象とはかなり違ったが・・・。

いにしえのヒット曲を歌うと予想したのは「地上の星」しか知らない人のため知っている可能性のある曲、ということで。 弾き語りがひとつ入るんじゃないかと予想したのは、過去自分はこういうスタイルで歌っていた時期もあるという表現のため、 そう予想したのだが・・。それともいまだに弾き語りを望むファンに対するサービスか。 いや、ただ単純に帰郷願望の匂いのする『ホームにて』を選曲した段階で、レコードと同じアレンジということで 弾き語りになったってところか。。

こうして曲目を眺めてみるとやたらと学生を意識した選曲にみえてしまうのだが・・。

『短篇集』『心守歌』と二枚のアルバムを聴いて、一番最初に何故だか懐かしさを感じた。 この二枚のアルバムから原点回帰の匂いを感じていたころ、学園祭に出るらしいと人から聞いた。 かなり驚きつつやっぱりな・・と確信してしまったのだが。

しかし、普通のホールと全く同じ演出を体育館でやろうとしてしまった中島さんを見てると 原点回帰というのは私の思い過ごしなのではないかな・・・・・と。 ただ単純に新たな若い客層を獲得したいだけなんじゃないのかと思ってしまう。

体育館じゃダメなんでしょうかね・・・。 豪勢なセットが無くてはできませんかね・・・。 中島さんがやりたい、こういうものが見せたい、と思う事がどうあれ。

なんだか落ち着かないまま、いやそれは途中まで非常にトイレに行きたかったせいでもあるが、 さほど私には印象が残らないまま、コンサートは終わった。 そういえば大学って自分には全く縁の無い場所だな・・・と朝から並んでる時から終わるまでずーっと思っていた・・。

<演奏曲目>

・あした
<MC>
・船を出すのなら九月
<MC>
・悪女
<MC>
・狼になりたい
<MC>
・わたしの子供になりなさい
<MC>
・空と君のあいだに
<MC>
「ここにいるよコーナー」
・成人世代
<MC>
「ここにいるよコーナー」
・帰省
・ホームにて
中島さん衣装替え
・囁く雨
<MC>
・夢の通り道を僕は歩いている
・あのバスに
<MC>
・樹高千丈 落葉帰根
・LOVERS ONLY
・夜行
<MC>
・ヘッドライト・テールライト

<アンコール>

・地上の星
・月迎え

月が変わって12月、東京国際フォーラムで再び中島さんを観た。

座り心地の良い幅の広い椅子と観やすい客席、ついでに取れたチケットが舞台から比較的近い場所のど真ん中。 双眼鏡を覗くと中島さんの上半身しか見えない。 翌7日には、角度美人と言われる中島さんが一番良く見えるとされる左斜め45度のまた比較的舞台に近い場所で観ることができ、 見慣れたせいか、さほど老けたとも太いとも感じなくなっていた。化粧はアレだが。 音響の事も考えて造られているであろうこのホール、音も良かったように思う。

6日のコンサートで一番最初の妙な声の挨拶を聴き、自分なりに考えていた理由に何故か確信してしまった。 それは”笑われてもいいように”ではないかと。逆にね。唯一のライブCD『歌暦』の中の「こんばんは、中島です」でも 実は会場はさわさわっと笑いが起こっていた。緊張の緩和か照れか愛想かなんだか知らないが。 普通に挨拶しとるだけなのに、何笑っとんねんといったところだろうか。こういうのって意外と気になるもんじゃないだろうか。 実際どうなのかは分るわけもなく、それがどうしたと言われれば、どうでもいい話。

舞台と客との間にこっから入ってくんなと見えない線をひいたのは夜会を始めてからだと思う。 私も、ぼけーっと座って観てる方が性にあっているので、別にそれはそれで良いと思う。 掛け声の嵐や、中島さんに対して目立とうとなんやかんやと舞台にちょっかいを出す輩も鬱陶しい。 そういうハプニングが面白い場合も無い訳ではないが、 センスの欠片も無い人間が、人がやってるからと真似なんかしようものなら悲劇だ。

しかし客を椅子に縛り付けた挙句、何年か前のツアーの時の様に、 アンコールもありますよと宣言しておかなければならないのはさすがに少々辛い。 舞台と客との間合いを取ったまま、コミュニケーションを取る手段として、「ここにいるよコーナー」をやったんじゃないかと思うんだが、 MCの際の客からの掛け声などを、適当にこなしている所を見ると、どうしたかったのか良く解らない。

実際、このコーナーは実質的には葉書を読み上げ名前を呼んで返事をしてもらう、というだけのものになっていた。 ツアーの最初からそうだったのかは判らないが。 少なくともこの二日間は葉書を元に中島さん自身の話をすることは無かった。 ちなみに学園祭の時はこのコーナーの時にちとトイレに行ってたもので、わかりません・・。 何故このコーナーが存在するのかを中島さん自身が説明したものとは若干違うものになっているような気がした。

森の郵便屋さんと称して、6日は舞台監督が「こ、こ、に、いるよ〜♪」と歌いながら登場。 7日は「ビター・スイート・サンバ」に乗って登場。

6日の感想はやはり、中島さんという人が全く見えなかった、に尽きる。 客との接点が無いならばと、スタッフやミュージシャンとのからみを見ても、 この日はピンスポットを当ててるという人の「寝てたら起こしてください」という葉書が読まれ、 じゃあ私が動けばいいのねといきなり舞台の左に走り出す、なんてことをしたわけだが、 それでもなんとなくスタッフと中島さんとのぼんやりとした溝を感じた。

ミュージシャン達は恐ろしい程奥まったライトも当たらないんじゃないかと思うような場所に居り、舞台上に配された 『木』のせいでよく見えないコーラスさんも居た。もっとも、コーラスさん達は衣装替えやら立ち位置も入れ替わったりしていたようだが。 そんな中、中島さん”だけ”が思いっきり目立つようにできていたのが印象的であり、 それも私がそう思った一因といえばそうかもしれない。

中島さんのコンサートなんだから中島さんだけ目立つようにするのが当たり前じゃないかと思われるだろうが、 以前はもう少し馴れ合い感がありそちらのほうが個人的には好きであった。

何故かこの日はやらなければならない仕事を淡々とこなしているだけ、のように私には見え、 中島さんという「人」を私は感じることはなかった。

対して7日の中島さんは前日とは打って変わって歌の最中の踊りも派手で、えらい違った。 「ここにいるよコーナー」のスタッフとのからみもPAの人の葉書の際にマイクで返事はするわそれにエコーはかけるわ スポットライトが当たるわ、、など、なかなか面白かった。 ほんのちょっとだけ、どの場面でというわけでもなく、ただぼんやりと中島さんという人柄が見えた瞬間があったような気もしたが、 これもまたなんの根拠も無い思い込みといわれればそれまでの事。

こうして書くと、なんだ肝心の歌よりもMCの方が大事なのか、と思われる事でしょう。 はっきり言ってそう。私はMCを必要以上に重要視してる事に気がついた。

『ヘッドライト・テールライト』がいい曲だなと思えたので、これは良かったかもしれない。 いえ、CDはちゃんと買ってありますけど。 それにしても例の番組のエンディングとして作った曲だが、うまいこと創るものだな・・と改めて感心・・。 ドラマやなんやらの主題歌を作る時って正真正銘の”主題歌”を作りますな、中島さんは。

前回に引き続き、今回のツアーもタイトルがあって無いようなもの。 昔からのファンのための曲、最新アルバムからの曲、プロジェクトXだけしか知らない人のための曲、 それら歌わなければならない曲が並んでいる。 中島さんが今回のツアーではこれが歌いたかった、という意志の下で決定された曲は無かったような気がしてならない。 それは随分前から感じていた”中島さんの客に対するサービス心”だと思ってしまう。 それが必ずしも客をつかむ要素になるとは限らないと思うのだが。。

一番最後の最後にそれまでの流れを止めるような印象だった『月迎え』になにかありそうな気がするが、解りません・・・・。 解らない時はホントに微塵もこっちに伝わらない。こっちのせい?ああ、そりゃそうですな。。 それにしても夜会の影響なのか、なんだか演出過多だな・・とだけ思う。 退場の際、足元をさらさらと光の粒が影のようについてゆくところなど、言われなきゃわからない・・。

一番最後に真面目な口調で喋った言葉はテロがあっても無くても結局は変わらなかったろうと思えてならない。 思えばサリン事件の時もぽろぽろと中島さん自身の言葉で何か言っていたと思うが、 世間の出来事を漠然とした言葉でも、あの空間で言う必然性を私は感じない。

さて、今回のコンサートを観ながら漠然と何というわけでもなく、昔を思い出していた、 何故だろうと思っていたのだが、自分にとって初めて観たコンサートということで非常に印象深い 『五番目の季節』と類似点がある事に気づいた。

『悪女』『成人世代』『ホームにて』と『五番目の季節』でも歌った曲を三曲歌っている、さらにMCの際の 「ここにいるよコーナー」、これも1986年の「五番目の季節」で同様の事をやっている。それ以前の事は知らないけど。 但し、「五番目の季節」の時はまだオールナイトニッポンをやっていたので、その土地ならではの話でもあれば 舞台上で紹介しますよと漠然と募集、そこに来た葉書を使用していた。 同じく郵便屋さんと称して舞台監督さんが葉書を持って登場していた。 そういえば、今回のツアーも葉書を選り分ける為ポチが参加しているんだった。 類似点といってもその程度の事、ではある。。

ネット上に色々な感想やら緻密で正確な情報も核心を突いた意見もありそうであるが、ほとんどそれらを見てない。 さほど意見を持っていない私はどうしてもそれらの意見に流されてしまうので。 とはいえ、中島ファンの知り合いに感化され、だらだらと書かずにはいられなくなってしまった。

とりあえずはこんなところ。


追記
といっても大した事ではないのだが、この時の学園祭の後一緒に行った知人達とファミレスに行った。 他の人は皆初日からもうすでに観てる筋金入りのファンなのだが、 私一人だけがこの日初めて観たということもありテンションがあがりまくり大声で一人で語ってしまった。 後でかなり自己嫌悪に陥ったがまあいい。

その時の話のひとつに「こりゃ中島さん紅白にでるぞ」と、この時私は語っている。 スポーツ紙等でNHKのなんやら言う人が出場を打診している人として中島さんの名も挙げていたせいもあるにはあるのだが、 この時はかなり本気で出るぞと思い皆に熱くその理由等を語ったものの、あまり伝わってはいなかったな・・。 とはいうものの後で冷静に考えて、いやあやっぱり出ねえだろ・・・・と一人反省をした。

実際この年の紅白には出場することはなかった。 やっぱりねと思ってこの感想文をHPにUPしたのが12月も終わりごろ。。

翌年の年末、ご存知のとおり中島さんは紅白に出場した・・。トンネルの中からの中継。。 何の気なしに自分の上の文を見てるとこんなくだりがある。

体育館じゃダメなんでしょうかね・・・。 豪勢なセットが無くてはできませんかね・・・。 中島さんがやりたい、こういうものが見せたい、と思う事がどうあれ。

ある意味豪勢なセットを超えたあの場所ではあるけども、それにしてもなんも無いトンネルの中、 まるで中島さんを説得したかと勘違いをしたくなる快感を感じた次第です。

・・・・・・・ええと一応書いておくが、中島さんを含めた関係者とかそういった類の人が読んでるかも、 なんて全く思ってませんので。ま、偶然というかこじつけてみたら面白かっただけ。面白くないか。






もどる

最初にもどる