夜会 VOL.11
<ウィンター・ガーデン>


2000年11月23日(木),25日(土)
12月20日(水),23日(土),25日(月)
Bunkamuraシアターコクーン
S席 ¥15000
チケット代はやはり値上がりの一途・・・。
今までで最多・・5回も観てしまいました・・。

この年の夜会はなんだかんだと5回も観てしまいました。
お陰でトリプルキャストの「槲」の人を3人とも観ることができました。
もしかしたら私の中で、今までの中で一番良かった夜会かもしれない。
以下、初めて観た時の印象です。

今回の「ウィンター・ガーデン」は私には非常に面白かった。
痛快、といったら言い過ぎだろうかどこかで「夜会とはこういうもの」という漠然としたものを持っていたであろう ファンをいい意味で裏切るような、そんな感じに私には見えて実に痛快だった。 それは11年前に第一回目の夜会を観た時に感じたものに似てるかもしれない。

夜会が始まり、ほとんどいきりなり谷山さんがピアノで歌い始めた時に 何故か思わずニンマリとしてしまった私。なんだか良い。 別に谷山さんは嫌いじゃないけど、谷山さんの歌を聴きに来たんじゃないよと 嘆く中島ファンも居たと思う。 しかし、谷山さんを指名しどれだけ出番を作りどれだけ歌うかを決め、谷山さんに 「出番の多さに一番びびってるのはわたしなのよ〜ん(^^;」と言わしめたのは 中島さん。そのことがまたファンを困惑させたりしてるかもしれない。

以前、「金環蝕」で中島さんは引っ込んでコーラス二人に延々と歌わせた時があったが、 その時はその意味が中島さんの着替え時間作りのためにしか私には思えず、 コーラスさんの歌を聴かされてもなと思った記憶があるのだが、 今回は全くそういう不快感を感じる事は一切無かった。

むしろ、谷山さんを出した効果は絶大だったかもしれない。 「詩」で構成される今回の夜会。 谷山さんが演じたお陰で、嘘臭い言葉も案外普通に聴くことができたし、 そしてなにより、中島さんと谷山さんが一緒にしかも二人ともきちんと真面目に歌う、 というもう二度と観ることは無いであろう聴くことはできないであろうシーンが実に面白かった。

舞台を観ながら谷山さんと中島さんを比べたりする不毛な事する人も居たようだが、 偏見に満ちた目で観てなんか意味あんのかね。

能を普段やってる方の人の役が「木」であるというのも面白かった。 妙な存在感があり、非常に聞き取りやすい声だったが、やはり「詩」で構成されてるせいか 耳で聞いてもよくわからない言葉が結構あった。って私が無知なだけだが。 能の方は3人の方が日によって交代でやっているよう。 2回舞台を観て前とは違う方をたまたま観ることができ、意外と人によって違うと感じた。 やはり一番最初に観た印象が最優先されてしまう。 黒い着物を着て同じ所をぐるぐる回ってるなあと思ったらありゃ「影」なんですな、と舞台を観ながらでも気付く事ができた。

今回の夜会は詩で構成されると聞いて理解できるかしらんと少々不安だったのだが、 言葉遊びのようなくり返しや、単純な物語の流れであったせいか 通常一回しか観ないであろう舞台の中の「流れ」を以前ほどの疑問を抱かせる事もなく、 馬鹿な私でも観ることができた。

物語は実に淡々と進み、ラスト周辺に謎めいた谷山さんの行動などもあり、よく解らないなと思っていたのだが、 それはそのままさほどの盛り上がりも無いまま淡々と終わってしまったという印象。 話の展開に関係なく視覚的な盛り上がりさえもほとんど無いというのが意外といえば意外。 なんだ、私も中島さんに偏見を持っている。

今回初めて前から二列目のど真ん中で見る機会があった。 こんな前で夜会を観たのは初めてで、かなり興奮した。犬の中島さんがぶるんぶるんとケツを振るシーンとかね。 しかし前過ぎて舞台上の床が見えない位置となり、床の光など全く見えなかった。

中島さん関係の掲示板やらチャットやらで今回のテーマのようなものに「転生」というものがあると後で知る。 私は舞台を観ていてそれに気付く事はなかった。 「転生」と聞いて後から自分の観た舞台をそれに符合させようと一瞬でもしてしまう自分が非常に口惜しい。 舞台で観たものは舞台で解らなきゃ意味が無い、と思っている。映像化もされてないわけだし。 それが解らなかったとしても、単純に私が馬鹿ちんであるという、ただそれだけのこと。 後で周りの情報で解ってもなあと思っている。

今回の夜会は49の詩で構成されてるそうでパンフには舞台上で朗読されない最後の50コ目の詩があるそう。 まあこの程度なら演出の範囲かなとも思うが、でもそれ読んでもわかんね。

しかし物語性が異常に前面に出てきた夜会になってから、初めてかもしれない。 これは何だったのか・・と少しでも後で考える事ができたのは。まあ周りの人の影響もあるんだろうが。 とはいえやはり、「正解」を知る事なんぞできるわけもなし、これが正解だよと思いこんでしまうのも勿体ない気もする。 解らないのは解らないままで、まあいいやと思っている。


もどる

最初にもどる